続・もう1つの脳がある~アストロサイト~

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雑学

今回は、以前ご紹介した「もう1つの脳がある」の続きとなる内容となっております。もう1つの脳とも言われる「グリア細胞」の今回はとりわけ重要な働きをしているであろう「アストロサイト」についてご紹介します。難しそうな言葉が飛び交っていますが、今回は誰が読んでも分かるようにしていきますので、安心してください。今日は最新の脳科学による情報です(2021年現在)。

では、早速いきましょう!

もう1つの脳がある!


私達の思考を担っているもの。それが「脳」です。以前ご紹介した内容を、ざっくりおさらいします。
もし、元の記事が気になる方がいれば、こちらをタップして読んでみても良いかもしれません。

さて、以前お話したざっくりとした内容は
今までの脳科学は、私達の脳の神経は「ニューロン」と呼ばれる情報伝達の要があって、これが様々な情報を伝達する事によって、メインの思考が繰り広げられている、との見方が強かったんです。

ところがニューロンによる神経伝達だけでは、どうにも説明できないところが出てきます。これはどうしてだろう?と長年の研究でも判明していなかったところです。

しかし、最近の研究によって、どうやら「ニューロン」の他にも、脳内の情報伝達自体に貢献している「別細胞の働き」がありそうだという事が分かり始めています。
それがニューロンを保護する事が主な働きだと思われていた「グリア細胞」です。

つまり、情報伝達のメインが「ニューロン」で、そのサポートを「グリア細胞」がしているという考え方が主流となっていたのが、今までの脳科学です。

そして現在では、サポートと思われていた「グリア細胞」もニューロンのような重要な働きをしている可能性が見えてきているよ!

その働きが分かったらまた記事にしますね!

というのが前回までの話です。
前回は、アインシュタインさんの脳にはグリア細胞が沢山あってね、のような話も含め、
「ニューロンの保護材としてのグリア細胞」が、それだけでは無いかも!という内容でした。

さて、今回はそんな「グリア細胞」の中でも、特に重要な働きがあるといわれている「アストロサイト」というグリア細胞の1つについてご紹介します。

グリア細胞の1つ:アストロサイト


グリア細胞は、現段階において実に多種多様な種類が確認されています。
今回は、その中でも「アストロサイト」という名のグリア細胞について詳しく見ていきます。

アストロサイトの「アストロ」とは
「星型の」という意味です。つまりは、「星型のグリア細胞」という事です。
個人的には星には見えないんですが、そう呼ばれています。笑

「星型の」というのは、中心部分から四方八方に細長い細胞を伸ばしていて、それがまるで「星」のように見えるといった感じです。

その見た目は、私から見れば「綿毛」により近い様に見えます。
見た目の話は置いておいて、この「アストロサイト」の働きについては、まさしく「星」のような希望ある機能を有しています。

「アストロサイト」は、
真ん中からものすごい数の枝が伸びて色んなところにくっついてます。これは裏を返せば「それだけ沢山の数が必要なほど、何かをしている。」という事です。

特に脳の周りの血管にびっしり張り付いています。
本当にびっしりと付いているので、アストロサイトの先を見ればどこに血管があるか分かるほどです。
そうして、アストロサイトは血管にびっしりと張り付き、そこから栄養を取り込んで、それをニューロンに送っているようなんです。
必要な分だけ栄養を送って、必要ない分は制御する。
つまりは「ニューロンの調整役」である可能性が見えてきています。

更に「アストロサイト」の調整はそれだけではありません。
ニューロンの先っぽに「シナプス」という神経伝達物質(グルタミン酸やドーパミンが有名)などを放出するものがあります。

さて、このニューロンの仕組みについて簡単に触れると、
ニューロンが反応し電気信号が発生、その信号を先っぽのシナプスへ→シナプスが神経伝達物質を放出→その伝達物質を受取って違うニューロンに情報が伝わる
こういった仕組みで脳は正常に働いています。

ところが、この伝達を繰り返す際、ニューロンの先っぽにあるシナプスが神経伝達物質を沢山出した結果、行き場がなくなって「余ってしまったもの」が生まれます。

この神経伝達物質の「余ってしまったもの」を「アストロサイト」が
「勿体無いので、リサイクルしますね!」といわんばかりに、自分の細胞に取り込み、またもとの場所に戻そうとしてくれています。

ニューロンへ栄養を送り、更には余った神経伝達物質をリサイクルする。
こういった作用が「アストロサイト」にはあるようです。

例えば、もし、
シナプスでグルタミン酸が「余ったまま」放置されたなら、興奮性の作用を持っているグルタミン酸は、何も無くても反応し続ける、つまりは「働きっぱなし」の状態になり、てんかんのような症状を引き起こしてしまうでしょう。

ちなみになんですが、グルタミン酸とは料理の「旨み成分」として有名です。ここで、「じゃあ、旨みって身体に悪いの!?」となる必要は全くありません。口で食べたものがそのまま脳にいく事はありませんので安心して美味しく召し上がってください。

話が逸れましたがこういった、「アストロサイト」による調整が行われているならば、
「ニューロンのサポート」なんかではなくて、むしろ「ニューロンの指揮者」なんじゃないかと思ってしまいます。

さて、ニューロンの調整をしているであろう「アストロサイト」ですが、
実はこれ以外にも立派に働いているんです。むしろこちらがアストロサイトの真骨頂ともいえるかもしれません。

アストロサイトの真骨頂


ここまでアストロサイトが栄養を送り、更にはその調整をする事によって、ニューロンが本来の力を発揮している可能性について触れてきました。
要は「ニューロンの活躍のための下地作り」をしているという事ですね。

ところが、最近の研究によって、「下地作りどころではない」事も明らかになっています。


どういうことかと言うと「ニューロンの発した情報自体も、アストロサイトが受取っている。」というんです。
これはつまり、
「ニューロン以外の情報伝達の仕組みがある。」という事です。
情報の調整どころか、アストロサイト自身がそもそも情報の伝達をしている可能性が
出てきました。

これのなにが凄いかと言うと、
私達の脳に別の神経伝達システムがあるとすると、
今まで未知だった脳にまつわる病気がどういった仕組みで起きていたかの解明が進むかもしれない事や、より正確な脳の動きが判明する事によって、もっと明快に心の動きが把握できる可能性があるという事です。

更に更に、アストロサイトにはまだもう1つあります。

私達の頭の中には「謎のアストロサイト」があるんです。

私達が生まれたときには無く、私達の成長と共に一緒に成長している「特徴的なアストロサイト」が存在している事が分かっています。

現在、この「特徴的なアストロサイト」は残念ながら解明されていません。しかし、私達の脳の基本的な要素として「必要ないものは育たない」ので、何か大切な機能を持っている事だけは言えそうです。

一説によると、このアストロサイトが
私達の「ひらめき」に関与があるのでは無いかとも言われています。
ひらめきとの関係については少しまだ根拠が乏しいのかなとも思ったので、このくらいにしときます。

このように「アストロサイト」はグリア細胞の中でも特に注目されているものです。
まさしく「星」の輝きを持った、希望のような細胞です。

今後も、目を光らせて脳科学を見ていきたい、そんな気持ちにさせられました。
今回は雑学的な内容になりました。個人的にはワクワクしたので、ご紹介させていただきました。

今日のあなたの一日が「アストロサイトってすげー!」となる一日である事を願って。
読んでいただきありがとうございます!!

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