今回は、心理学の概念である「感情の粒度」についての話をしていこうと思います。「感情の粒度」について簡単に言えば、その感情を表す言葉のボキャブラリーを増やす事なんですが、これが私達にいい影響があることが確認されているんです。どうしてそんなことが言えるか?について、その内容をご紹介していければと思います。
では、早速いきましょう!
感情を表現する「身体」と「言葉」
何か嬉しい事があった時、ガッツポーズなどでその喜びを身体で表現をし、また、「言葉」として「最高!」なんて言ったりします。
あるいは、嫌なことがあった時に我慢をした際には、背中を丸め、下を向き、グッ!と口を一文字に固く閉じては、頭の中ではこれまた「言葉」として「最低かよ…。」と思考が駆け巡ります。
その気持ちを発露した際も、出さないようにする際も、「行動」として「身体」で、そして「言葉」として「頭の中」で再生されます。
感情を理解する際には、多かれ少なかれ「言葉によって」その中身を把握していきます。
そんな中でも今回は、私達心理学で言われている言葉による効果について特に、「感情の粒度」の話をしていこうと思っています。
感情の粒度
今回の話で取り上げる「感情の粒度」は、簡単に言ってしまえば「感情に対する言葉のボキャブラリーの多さ」についてです。
ジョージ・メイソン大学の研究結果では、
自分自身が感じている感情に対しての言葉のボキャブラリーが多い人ほど、ストレスに強く、病気にかかりにくく、そして依存症などにもなりにくいということが言われています。
つまりは、ご自身の感情を「より具体的な言葉として」表現ができるほどに、それを上手く捌けるようになります。
私達はとても複雑な感情を抱きます。そして更にはその感情にはそれぞれ強弱もあります。
それに対して多くの言葉でもって表現ができれば、より正確な感情にたどり着ける可能性が高まります。
私達の抱く複雑な感情に対して、「粒を細かく」当てはめることができた方が「心と言葉のギャップ」が少なくなるんです。
誰かに悩みを相談する際に、悩み自体は解決していないのに聞いてもらっただけで心がフッと軽くなるのは、ご自身の頭の中でより細かく感情を細分化して、話すことができるからでもあると思います。
また反面「なんだかイライラするんだよね」のような相談をした時、気持ちの細分化が成されにくいがために、依然としてモヤモヤイライラしてしまう事があるのもまた納得がいくんじゃないかと思います。
そしてどうもこれは「自分の感情を細かく」できればいいもので、必ずしも「難しい言葉」ではなくても良いようなんです。
簡単な言葉で
例えば、怒りだったら
「〇〇があってイライラする」は、じわじわとくるような怒りの継続状態を表せるし、
「〇〇があってイラついた」は、あの時はかなり怒りを抱えていたけど、今はその限りではない可能性(もしかすると思い出したことで、再び怒りが湧いてきてもいる状態)があります。
「〇〇があってちょっと腹立った」は、少しモヤモヤとしたけど、今はそこまででもないだろうし、
「〇〇があって不愉快」のような言葉は、ちょっと上から目線な感じがあるのではないかと思います。
いずれにせよ自分の中で、今どういう感情、どれくらい強いものかが分かるだけで私達はすっきりするということがそこそこ沢山の研究からも示されているので「自分にとってどのくらい?」が分かれば、そのやり方はどんな形でもいいのだと思います。
ですので、例えば、
今の自分の怒りボルテージは「何%かな?」と考えて、
0~100%に当てはめていくことも有効であるともいわれています。
身体の感覚も大切に
ここまでは「言葉」についてでしたが、
ここからはちょっと蛇足にはなるかもしれませんが、「身体」の感覚についても触れていきます。
前回の記事で触れた内容以外のものをご紹介できればなって思います。
昨今では東洋文化である瞑想が、今や世界中で取り入れられつつありますよね。
科学でも研究されつつある瞑想ではありますが、これの何が心にいいかというと
「今現在(今、ここ)」に意識を向けられる点であると思います。
私達人間はとても頭が良いばっかりに、現在に起こっていること以外に、過去の出来事だったり、未来への不安に悩みを抱えてしまいます。
そんな私達を今現在のみに集中させてくれる方法の一つである瞑想は、過去と未来を端っこに置いておくことが出来、今の心や身体の状態に向き合う時間を作ってくれる、やっぱりいい影響があるものだと、私自身も思います。
「サピエンス全史」や「ホモ・デウス」など、数々の本を執筆した現代の知の巨人と呼ばれるハラリさんも日々瞑想をしていることでも有名です。
ハラリさん自身が瞑想のおかげでこういった本を書くことが出来たともおっしゃっています。
ちょっと話はそれますが、ハラリさんの本は、わりと世界の見方が変わります。
特に、歴史的事実から考察を広げる「サピエンス全史」は必見です。
私自身はかなり前に読んだんですが、いまだにハラリさんの影響をそこそこ受けてもいます。
さて、瞑想と一口に言っても様々な種類があります。
歩きながら行う「歩行瞑想」や、足の先から頭のてっぺんまで細かく観察する「ボディ・スキャン」など、沢山あります。
ただ、いずれの場合においても、目の前のことや、心の状態や身体の細かい感覚など、今現在に目を向けるものです。
特に身体の状態を観察できるものについては、効果的です。
ノースイースタン大学のリサ・フェルドマン・バレット博士の研究でも
自分自身の身体の感覚を上手く認識できない方は、感情や思考を大きな括りで一緒くたにしてしまう事が言われています。
「言葉」も、「身体の感覚」も細かくできた方が、どうやらストレス耐性は上がるようです。
違う言い方をすれば、「心本来の感情」と「言葉と身体」のギャップが埋まり、私達の耐性をより十二分に発揮できるともいえそうです。
今日のあなたの一日が「言葉と身体の感覚を細分化」する一日であることを願って。
読んでいただきありがとうございます!!