思いは意外と伝わっていない~透明性の錯覚~

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人間関係

今回は、私達の思いは意外と相手に伝わりにくい、というか伝えて無かったりもする、という事を、私達の1つの心理である「透明性の錯覚」をご紹介しながらのお話をしようと思います。「透明性の錯覚」による誤解が世の中には結構あり、これを知るだけでも少しだけ自分の中の気持ちには整理が付いたりします。今回は「透明性の錯覚」の問題とその対処がメインです。

では、早速いきましょう!

意外と伝わらない「思い」


私達と誰かとのやり取りの際、時折こんな事があります。

例えば
AさんとBさんの間で、このようなやり取りがあったとします。

Aさん「Bさん、この前のあれ、やっといてくれたかな?」
Bさん案件αですか?やってありますよ。」
Aさん「いやいや、違くて!あれだよ。この前頼んでおいた見積りの件!
Bさん「ああ!見積りβの件ですね。それについては現在協議中です。」
Aさん「いや違うって!見積りγの件だよ!!」

こんな感じでお互いの話が食い違う事ってありませんか?

これにはとある心理が作用して、お互いの話を伝わりにくくしてしまう事が原因だと考えられます。
その心理が
「透明性の錯覚」です。

透明性の錯覚とは


「透明性の錯覚」とは
自分の思いや意思が相手の想像以上に伝わっていると錯覚してしまう事です。

例えば
大勢の目の前でスピーチをし、ガチガチに緊張しながら話をしている中、私達の中では「うわぁ、緊張しているのが皆にも伝わっているんだろうな。」と思いながらなんとか終えて席に戻ると
「堂々としていて実に立派だったね!」なんていわれてしまう事なんかもありますよね。

これも透明性の錯覚にあたります。
私達は時に心の中が見透かされているような感覚になってしまう事がありますが、あまりに目に見える形で無い場合は、他人は大抵、それには気付きません。

まして、今回メインで取り上げる、私達と他者との会話の中で生まれるような誤解については、伝えない事には中々伝わらないものです。

冒頭の例にもあった通り、
主語が無かったりして、いまいちピンと来ないような相手の意見などはこれが作用しています。
つまりは「言ったつもり」になってしまう時があるという事です。
その結果、「伝えてないのに伝わっている」を思い込んでしまうんです。

Aさんの頭の中で思い浮かべた事とBさんの頭の中で思い浮かべた事が違うことでこのような事が起きます。

特に今回のような場合ではAさんは、Bさんに話しかける前に、頭の中で考えていた事が、いつの間にか相手に伝わっているように思ってしまっている、という事が挙げられます。

もう少し具体的に言うと、AさんはBさんのもとに向かう最中

Aさん「(見積りγってどうなっただろう?締め切りが近いから確認しとこう。)」
Aさん「Bさん、この前のあれ、やっといてくれたかな?」
Bさん案件αですか?やってありますよ。」
・・・

このように、前もって自分の頭で考えた事がBさんに説明されず、スッポリ抜けてしまっています。
これ自体は誰でもやってしまう事なので、説明し直せば事足ります。

しかし、この心理の一番の問題は、あまりに透明性の錯覚が強くなりすぎると、
「何で分からないんだ!」
「そんな事も分からないのか!」

となってしまう事です。

こうなってしまうと、自分の場合も伝わらなくてやきもきするし、相手の場合も何のことだか分からず困惑してしまいます。

しかしこの心理については、知ってしまえば少なくとも自分自身がそうなる事を防ぐ事もできるし、また、そうなってしまっても「ああ、説明が不十分だったか。」と説明しなおす事に違和感なく取組めます。

質問されたら応じて、分からなければ質問する
そもそも相手が理解しきれていない事に対して、「なんで分からないんだ!」となる必要は無いんです。

私達はただ、相手が理解したかを確認し、質問されれば答えていくだけで良いんです。
相手だって分からないから、質問をするんです。

反対に、私達が相手の言っている事が分からなかったのなら、こちらから質問しない事には一向に理解できないものです。
私達だって分からないから、質問をするんです。

ここでもし、相手に聞く気が無かったり、相手が説明する気が無い場合、
正直言ってそれを解決できるのは、相手だけです。

質問してくれる、説明してくれる人は、それだけでもコミュニケーションを図ろうとしてくれている「いい人」なんじゃないかと思っています。

また、こういった「言ったつもり」の場合が良く起きることを考えると、誰かに質問する事は全く持って悪い事では無いので、申し訳ないという気持ちを抱く必要もありません。

私達はよく勘違いしてしまいます。それは誰であっても起き得るんです。
完璧にコミュニケーションを取れる人も、やっぱりいないんです。

だったら、よく間違えることは否定しないであげて、よく間違える前提を持ってしまった方が、私達は心の負担がずっと少なくなるんです。

今日のあなたの一日が「透明性の錯覚」を知り「言ったつもり」を防ぐ一日である事を願って。
読んでいただきありがとうございます!!

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