今回は、痛みの仕組みとその対処方法についてご紹介します。痛みが強くなったり弱くなったりするのはなぜか?また、どうすれば痛みを和らげる事ができるのか。そして、心の痛みについても知っていただけたらと思います。
では、早速いきましょう!
痛みの仕組み
タンスの角に足の小指をぶつけてしまった事は、どなたも経験があると思います。
その経験を思い出して見ると、
始めは、「しまった!ぶつけてしまった!!」と私達は思います。
その後少し遅れてから、次第に激しい痛みに襲われますよね?まさに悶絶します。
想像でも痛い気がしますが、もう少しだけ思い出して見ます。
何故だか私達は、タンスに足の小指をぶつけてから、実際に痛みを感じるまでに少しだけタイムラグがありますよね。こんな事がどうして起きるのでしょうか?
これを大雑把な説明にすると、痛みを感じる神経系は、その伝達速度が比較的遅い部類に入るからです。
伝達経路を順を追っていくと、
足をぶつけた!→脊髄「痛みを知らせろ!」→脳に痛みとして届く→めっちゃ痛い!
と言う仕組みになっています。
脳には痛みの知らせに関与する部分(大脳皮質の体性感覚野など)があります。痛みを感じ取る部分といった方が的確かもしれません。その部分が反応する事によって始めて、私達は実際に痛みを感じます。その伝達が遅いために、遅れて痛みがやってきます。
身体を傷つける可能性のある刺激を受けた場合、その刺激のあった箇所から脊髄を通り脳へ。そして痛みを感じる部分と感情にまつわる部分(不快感など)を通り、「痛みと感情を統合」して、「痛い!」と感じています。
実は、痛みに関しての大体の経路は、脳のどの部分が活性化するかは分かっているんですが、どのように痛みの種類、強さなどを判定しているのかが大まかにしか分かっていないんです。
つまりは、入り口と出口と少しだけ道順は分かっているけど、肝心の細かい中身が現代の科学でも、まだ詳しく分からないって事なんです。
しかし、科学は諦めません。
世の中には痛みを感じない人が極少数いるんです。「無痛症」と呼ばれる症状なんですが、この症状がある方たちに対し、fMRIという脳の活性化を可視化できるものを使って「脳の動きを見た」実験があります。
脳で痛みを判定していて、それを感じない無痛症の人であれば、脳の動きにも変化がありそうと考えるのは極自然だと思います。
その結果は、驚くものでした。簡単に言うと
「脳の活性の仕方に違いが見られない」というものでした。
脳で痛みを判別しているはずなのに大まかな違いは確認できなかったんです。おそらくもっと細かく脳の仕組みを見られるようにならないと分からないものなのだと思います。
しかし、遺伝子の一部(詳しくはニューロンのNav1・7 ナトリウムチャネルの遺伝子コード)に、無痛症の人は変異が見られる事は分かっています。おそらくそこが今後重要な鍵になってくれるんじゃないかという期待を持っています。
現在は、痛みは本人しか程度の分からないものなんです。本人の感覚に頼るしか無く、お医者さんもその痛みを測ることが難しいんです。
しかし、今後痛みの細かい仕組みが分かれば、それを数値化して判断する事ができる可能性があります。数値化ができると処方する薬や、処置がより適切になるでしょう。今後に期待したいものです。
これが痛みの仕組みです。
じゃあ、具体的に分からないんじゃ痛みをどうにかする方法は無いの?というとそういう事でもないんです。なにせ、大まかな経路と出口は分かっていますからね。
では、この痛みを和らげるにはどうしたらいいのか?をここから説明していきます。
痛みの対処
皆さんも、こんな話を耳にした事があると思います。
格闘家の方が、試合中に怪我をしたのに、試合が終わるまではその痛みに気付かない。
また、その他のスポーツ選手であっても、試合に集中している時は、やっぱり痛みに気付かない。集中がとかれた際に、ふと痛みを感じうずくまる光景は誰もが見たことがあると思います。
痛みに関して共通して言える事は
「その時の精神状態に大きく左右される。」と言うことです。
つまり
不安や動揺をしている時はより強く、その痛みを感じ
集中、リラックスしている状態では、より痛みを感じにくくなるんです。
というのも、痛みを感じる部分は心地よさを感じる部分にも関与しているからです。
何かに没頭している時や、リラックスしている時、また、信頼できる人との触れ合いがある時は、痛みを忘れていたような感覚になると思います。
痛みへの私達からの対処方法は「集中、リラックス、心地よさ」なんです。
これは、以前紹介した実験です。
女性の手に電流を流し、痛みによる脳の反応を調べた実験です。
電流を流し、女性が実際に「痛い」と感じた時、確かに脳も反応していました。
ところが、女性の夫が手を握った際に、痛みの反応が小さくなったんです。
この実験の凄いところは、夫以外の他人が手を握った場合では同様の効果が得られなかったところです。
奥さんの夫への愛情が深ければ深いほど痛みは減りました。
リラックスや心地よさが痛みを和らげた貴重な実験だと思います。
ここで、ひとつ思い出した事があります。
子供の頃に転んで膝をすりむいた時、当時の私はわんわん泣きました。そんな時、母親にやってもらった「いたいのいたいの飛んでいけ~!」
近くに頼れる人がいた事による安心が私をリラックスさせ、実際に痛みが和らぎ、むしろ痛かったことも忘れ、
再び遊びに参加したものです。大人になってからただの暗示と思っていた「いたいの飛んでけ!」は、痛みを取り去る確かな先人たちの知恵だったんだなぁと、今は感じています。
心の痛みへの対処
心の痛みを感じる脳の部分は、驚く事に、身体の痛みを感じる脳の部分と同じ場所です。
脳は痛みによって反応する部分を使いまわしています。
つまりどういう事かと言うと、「心の痛みは身体の痛み同様、実際に痛みを感じている」という事です。
言葉の暴力は、実際に叩かれたのと同じ様に心にも傷を負っているという事ですね。
心の傷は存在するんです。
乱暴な言葉は、周りの人に暴力を振るっているのと変わらないんです。
そう考えると、むやみやたらに他人へ当り散らすのはやめようってなりますよね。
心の痛みと身体の痛みを感じる場所が同じなら、その痛みを和らげる方法も見えてきたと思います。
はい。お察しの通り、集中、もしくは安心する事です。大切な人と繋がる事です。リラックスする事です。
大切な人と過ごし、心の痛みが和らいだなら、出来れば心の痛みを根本から解消するために行動していきたいですね。
根本の解消は、私の記事でも取り上げています。それを読んでいただいて、私の考え方があまり合わないようであれば、別の方でも、はたまた本から学ぶでもいいんです。
色々と経験する事によって、あなたを変えうる何かに出会えます。
今日のあなたの1日が痛みを理解し大切な人と過ごせる時間である事を願って。
読んでいただきありがとうございます!