心が変化する際の3つの過程。心に火を灯す時~クルト・レヴィンの「解凍→混乱→再凍結」~

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感情

今回は、人の心が変化する時、必ず通るであろう「3つの過程」をご紹介します。多くの人が現状を変えたいと願いながら、勇気を持って挑戦して見ても、やっぱり無理かもしれない。という心の変化を辿り元の場所へと戻ってしまうことがあります。今回は特にこのあたりの過程を心理学者レヴィンのお力を借りてご説明できたらなって思います。

では、早速いきましょう!

心の変化には「過程」がある


組織であれ、個人であれ「現状を変えたい」と思った際、そして実際に人の考え方が変化する際には、3つの段階を踏む事によって変化していってます。

そんな「変化の過程」を分かりやすく提唱しているのが、
心理学者クルト・レヴィンです。

もし、今まで勇気を持って何かに挑戦した際に、「やっぱり自分には無理かもしれない。」という気持ちを抱いて、元の場所に戻ってしまったとしたら、今回の話はもう一度挑戦する気持ちや、そこを乗り越えるきっかけになりうると考えています。

今回記事にしていくのはクルト・レヴィンの「解凍→混乱→再凍結」という心の動きの3段階です。

この考えを知ったのは結構最近ですが、私が悩みがちだった考え方から抜け出した過程はまさしくこの3段階を経ていました。

心の変化は「解凍→混乱→再凍結」の3段階


レヴィンは「社会心理学」の創始者として認められている人物です。レヴィンのおっしゃった中でも特に「解凍→混乱→再凍結」の考え方は秀逸だと思います。

組織や、自分自身の心を変えるとはどういう事か?を分かりやすく表現なさっています。

今現在、私達が日々使っている考え方は、今までの経験から生まれた「使い慣れた考え方」です。
目の前で起きたことに対して、私達はその「使い慣れた考え方」を使って解決したり、とりあえずの対応を試みます。

ところが、その考え方は「使い慣れた」ものではあるけれど、必ずしも「使いやすい」わけではなかったりしますよね。

使い慣れているからなんとかそれによって、目の前の問題を解決しようとしますが、実際はその考え方が自分自身に負担をかけている、なんてこともあります。

レヴィンは、この「使い慣れた考え方」をカチコチに凍った「氷」で表現しています。
そしてそれを変えたければ「解凍」してくださいね!
と言っています。

ここから順を追って、心の変化の3段階についてみていきます。

第1段階「解凍」


レヴィンはその使い慣れた考え方を「氷」で表現し、それの「解凍」が必要だと言います。
「心の氷」と言うと「冷たくて硬い」のような何か良くないイメージが湧きますが、そういう意味ではないんです。

「氷」は確かに硬いものですが、「強い熱」によって溶かすことが出来るものです。レヴィンが言っているのは、以前よりもっと良い考え方があった場合にそれを取り込むことが出来ます。という事を表現するために、自分自身で溶かすことの出来る「氷」といっているものだと認識しています。

例えばこれが
新たな考え方に対して半信半疑で、あるいは全く信じていない状態でその考えを取り込もうとしても、心の氷は解凍されていないので、氷の表面ではじかれてしまいます。

もしその考えが、自分にとって有益であっても、解凍されていないことには難しいものです。

それに対してレヴィンは
「今までの心を変えて生きたいのであれば、過去の考え方にケリをつけてください。」
と言っています。

今まで散々自分自身を苦しめてきた元の考え方に対し、「もう終わらせてやる!」という気持ちを持つことが大切なんです。つまりは氷を解かすくらいの「強い熱」が必要なんだと言っています。

そんな気持ちにさせてくれるものが「決心」です。まさに心に決める事です。

ここで少しだけ、「決心」の話に逸れますが、私達が「決心」できる時って言うのは、自分自身が「腑に落ちた時」なんです。要は心の底から納得できたものに対して、私達は意欲が生まれ、行動できます。
そして欲を言えば、待つのでは無く、そういった考えに出会いに行ってください。「決心」出来るものに出会う可能性はグッと高まります。

話を戻しまして、第1段階である「解凍」を纏めると、
「決心できるものを得て、心の氷を溶かして始めて、新しい考えを取り込める」
という事になります。

さて、ここから次の段階である「混乱」についてみていこうと思います。

第2段階「混乱」


「もう戻ってやらない!」という強い決心のもと、新しい考え方を取り込もうとしている段階が「混乱」です。

第2段階は「混乱」というその名のとおり、今までの考え方と新しい考え方が混在し、はっきり言って、「しんどい」段階です。

おそらく多くの人は第1段階の「解凍」に成功した後に、「やっぱり無理だな…。」と引き返してしまうのは、第2段階の「混乱」がしんどいからです。

私自身もこの段階はかなり苦労した記憶がはっきり残っています。
個人的な意見を言わせてもらえば、この時に一番大切な事は「今までの考えと闘わない事」です。

私達はどうしても今までの考えを変えたい気持ちが強いばっかりに、「もう変わりたいんだから、今までの考えは引っ込んでろ!」としてしまいがちです。

ですが、私が少しずつ変わっていったことを実感できたのは、
「今までの考えを認めつつも、それに丁寧に自分自身を納得させていった」所が大きいものだと感じています。

つまりは今までの考えがパッと浮かんできてしまった際には
「確かに前はそう考えてたよね。でもね、それはこうすれば良いと思うんだよね。」
と繰り返し、自分が納得していったんです。

ここが一番の踏ん張りどころでした。何度も何度も繰り返さなくちゃならないし、正直しんどかったんです。でも、私を支えてくれたのは、「もう戻ってやらない」という気持ちと「これからはこうなっていこう」という気持ちです。

ちなみに、この時期はずっと続く事はありません。徐々に自分のものになっていきます。ここまで言い切るのは、後述する脳の可塑性(かそせい)という誰にでも起きる脳の変化があるからです。

この時期を乗り切りさえすれば、最後の第3段階が待っています。

第3段階「再凍結」


新しい考え方も徐々に私達の心に馴染み、「使いやすく、使い慣れた」考え方になっていきます。

ここまできたなら、揺るがない自信に満ちた考え方を手にする事ができているはずです。
上手に組みあがったその考え方は硬い氷に守られる事によって、いうなれば「信念」になっています。

こうなると、
自身の心を自分の力でもって「こうも変えることが出来た」という実感と幸せに満たされます。

また、より良いものに触れた時、腑に落ちた時、私達は再び第1段階に戻って「解凍」してあげることも出来るんです。

以上がレヴィンの「解凍→混乱→再凍結」です。
レヴィンはどちらかというと、この3段階を「組織の変革」のために言っていますが、私がこれを「個人の心の変化」としてご説明したのは、
組織も人であり、人である以上心の変化があり、その部分は共通するものであると考えたためです。

そしてこの心の変化については、第2段階でも少しだけ触れた脳の可塑性(かそせい)とも整合性の取れた話なんです。
今まで私の記事を読んでくださった方には重複する内容ですが、あらためて軽く触れていきます。

脳は順応する


私達の脳はとても柔軟です。苦手意識を持っているような新しい事が少しずつ上手になっていくために、しっかりと順応する能力を持ち合わせています。

分かりやすい例で行くと
お箸が上手く使えるようになるもの
自転車や車の運転が少しずつうまくなるのも
仮歯の違和感が1週間もすれば無くなるのも

脳が順応しているからです。これは考え方も例外では無いんです。

脳神経レベルの話をしていくと、今までの考え方は「使い慣れている」ために、その考えを取り出しやすい状態なんですが、新しい考えは「使い慣れていない」ために、最初は取り出すことが難しいんです。

新しい考え方が取り出しにくいのは、それがあなたに合っていないからでは無く「使いやすく」なっていないからです。

使えば使うほどに、脳は少しずつ順応していきます。もし、今「じゃあ、私も変われるかもしれないんだ。」と思ったのなら、それすら脳は順応しようとしています。

自分で考える事が、自分を変えることの出来る道なんです。

また、ネガティブな考えは、環境や習慣によっても起きます。
例えば、
太陽を全く浴びなければ、気持ちが落ち込むように私達は出来ているんです。
これは「セロトニン」という脳内物質が欠乏する事によって、心が安定しないという事が言えると思います。
ただ、私自身の味わった感覚を正直に吐露すれば、「まさに今、セロトニンが沢山出てる!」のような感覚は全くありません。私が感じたのは「なんだかよくわかんないけど、最近少しだけ調子がいい気がする。」と言った感じです。とはいえ、こういった(セロトニンによる)調子は、私達の意欲や決心にも知らず知らずの内に影響を与えます。

また、何をすると幸せになるかは脳内物質によってある程度は決まっているものだったりするので、もしご興味があれば下にリンクを貼っておきますので、見てみると良いかもしれません。

また、今回は肝心の「決心」となるものに触れませんでしたが、こちらについては私のその他の記事を見るのも良いかもしれません。

お役に立てたなら、光栄ですし、こんなに嬉しい事は中々にありません。

今日のあなたの一日が「解凍→混乱→再凍結」で、心の変化を知る一日である事を願って。
読んでいただきありがとうございます!!

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