悩みがどんどん大きくなる原因は脳の仕組みにある

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感情

今回は悩みがどんどん大きくなってしまうのは脳の仕組みにある、というのをご紹介します。私達の考えている事が、私達自身を傷つける毒にも、私達自身を癒す良薬にもなるんです。実際の薬の話ではなくて、私達自身の「思考」をとても小さな世界、脳の仕組みから掘り下げていきたいと思います。

では、早速いきましょう!

私達は考える事が出来る


私達は考える事が出来ます。なにをやって、なにをやらないのかをある程度の自由度を持って「思考」する事できます。
しかし反面、浮かんできて欲しくないような「負の感情」も、私達が望んでないのに浮かんでいます。

自分で考える事ができるのも、負の感情が浮かんできてしまうのも、そこには脳の仕組みが密接に関わっているからです。もう少し具体的に言うと、私達の脳の中には「思考」として電気信号や脳内伝達物質を迅速に送る、「神経回路」が存在するからです。

今回は、この「神経回路」を出来るだけ簡単に掘り下げていこうと思っています。この仕組みが分かると、なぜ負の感情が強くなったりするのかが分かってくると思います。

ですので、まず始めに、「ニューロン」とそのニューロンの末端にある「シナプス」の仕組みについて簡単にご説明できたらって思います。

ニューロンとシナプス


神経回路と一口で言っても、正直かなり複雑です。なので、今回は出来るだけ範囲を絞って、それもざっくりとした内容でご紹介します。

私達の頭の中には、ものすごい数の「ニューロン」という、電気信号を送る細胞が張り巡らされています。

そしてその「ニューロン」の末端部分には、「シナプス」というものがあります。
「シナプス」はニューロンから送られてくる電気信号を受け取った際に「情報が来たぞ!」といわんばかりに「神経伝達物質(有名なのはドーパミン)」を放出します。

つまり、
ニューロンが電気信号を出す→シナプス「情報だ!」→神経伝達物質を放出
という過程が脳内で起きています。

シナプスから放出された神経伝達物質は、すぐ近くに「別の神経細胞」の受付口があり、それを受取った「違うニューロン」が再び電気信号に、その違うニューロンの末端にあるこれまた「違うシナプス」が伝達物質を放出。これを繰り返してあっという間に「情報」として広がっていきます。
まるで水面に水を一滴落としたら、波紋が広がっていくような感じで広がっていくので、そのように捉えるといいかもしれません。ただし、その情報伝達の波は、「なんとなく」では無く「正確」です。

ここでひとつの疑問が生まれるかもしれません。
「どうして電気信号だけでは駄目なの?その方が効率よさそうじゃん!」

私自身も、始めはそう考えました。笑

電気信号で全部できた方が、シンプルで分かりやすく、仕組みとしても単純化されてミスも起きないような感じがします。

しかし、シナプスがひと手間掛ける事は、とても重要な過程だったんです。
仮にもし、全て電気信号で私達の「思考」を担当したら、おそらく「逆流」も起きてしまいます。電気である以上は伝導してしまいます。四方八方に誤った信号を送ってしまい、制御がきかなくなるんです。

つまり「シナプス」はその情報が逆流したり、誤った方向に行かないようにするような役割を持っているんです。

このような正確な神経伝達の仕組みを経て、私達は自分で考えたり、感情が湧いてきたりしています。

では、なぜ湧いてきた感情、特に「負の感情」はどんどん強く大きくなり、私達を苦しめるのでしょうか?
大きくなってしまう理由が今回の大切なポイントです。

シナプスの増強


私達が「負の感情」を抱いた際に、その感情があまりに強いものだと、日増しに更に強いものとなり、来る日も来る日も思い出す事が起きています。
これには、「シナプスの神経伝達物質の放出」と「その受容体(受付口)」が大きく関係しています。

少し難しくなりそうなので
例えで行きたいと思います。

シナプスの仕組みを「物流」に例えると、
ニューロンが「注文の情報」
シナプスが「物流センター」
シナプスの出す、神経伝達物質が「品物たち」
その受容体(受付口)が「受付する人達」とします。
そしてそれを見張っている「受付の管理者」もいます。

正直、沢山の馴染みの無い情報が出てきてこんがらがると思うので、純粋に物流の流れとして、先ずは捉えるといいかもしれません。

お客様からの注文(私達の経験)を受け、その注文の情報は物流センターに届けられます。(ニューロンの情報→シナプスへ)

その届いた注文情報を基に、物流センターでは品物を出して、すぐ隣にある受付に渡していきます。(シナプスから神経伝達物質放出→受容体が受け取り)

受付の人は通常勤務で数名がいてくれています。(伝達物質の受け取り担当が数個存在する)

ところが、最近は配送されてくる品物があまりに多く、受付の人数が足りなくなってきました。
すると、これを聞きつけた「受付の管理者」が迅速に対応して
「品物が多いから受付の人数を増やそう!」といい、受付の人数を増やします。

(シナプスから放出される神経伝達物質が増加→受容体の数を増やそう!)

あまりにも品物(神経伝達物質)が多い状態が発生すると、受付の人数を増やすんです。

つまり、
「シナプスからの神経伝達物質の放出が多くなると、その受付口の数はしばらく増やされる」ということです。
また、言い方を変えれば、
「繰り返される経験や考え方は、実際にその神経回路が伝達しやすくなるよう、しばらくの間、その受取口を【増強】する。」
ということが起きます。

何度もそれについて考えると、その考え方は簡単に取り出すことが出来る様になるんです。
強い負の感情をそのままにしていると、次第に容易にその感情を抱くようになります。

ただ、幸いこの働きは永遠に続くものではないので、対処できればその増強は元に戻す事も出来ます。そしてこの増強こそが、上手く扱う事ができれば私達の後押しにもなります。

その増強を元に戻す


望みもしないし、嫌な気分にもなる強い「負の感情」は、それが嫌なものであるがために、何度も思い出してしまいます。
しかし、何度も思い出してしまうものだから、「シナプスの増強」が起きてしまっている可能性もあります。

これをどうにかしてやる必要があるんです。

嫌な気分になるから何度も思い出してしまいます。だったら、嫌な気分にならなくしてやるしかないんですが、私自身これには非常に苦労した記憶があります。

しかし、ありがたい事に脳は柔軟です。「嫌だなと思う回路」が起きても、それを紐解いてあげれば少しずつ嫌な気持ちは弱くなっていくんです。

私達はそれぞれが全く同じ経験をしたとしても、それぞれが全く同じ気持ちになるかというと、全然そんな事ありません。

Aさんは嫌だなと思ったけれど、Bさんはものともしていないということが常々起きています。

これをメンタルが弱いだとか、強いだとかと言うことがありますが、私個人の経験上、「なにを気にするか?」の違いなんじゃないかな?と思う所があります。

というのも、私自身が世間体を気にし、誰かを疑い、更には自分すら信じなかった時期があり、実際そこから抜け出したからです。

毎日毎日、思い悩み苦しんでいた当時の私の正直に思っていた事をいうと、
「私は、日本でもトップクラスの不幸を味わっている」と思っていました。

おそらくは、他の思い悩んでいらっしゃる方も同じような事を考えていらっしゃると思いますし、実際それは間違っていません。

私達人間というものは
「自分自身がどう考えているか?」に大きく左右されます。
しんどいと考えるほどに、本当にトップクラスの不幸を実感してしまうんです。

この話は、大きな悩みを抱えた事のある人ならご経験があるんじゃないかと思います。
しかし、私はそこから抜け出しました。嫌だなと思う事はあっても、その数は圧倒的に少なくなり、また、長い時間悩んだりということは全くありません。

かつての私と、今現在の私。一人の人間である私の中であっても変わっていくものなんです。
この観点から見ると、私はメンタルが弱いのか?はたまた強いのか?は判断がつかないですよね。

今現在の私が、誰かに「あなたはメンタルが弱いんですね」といわれても、正直「嫌な事を言う人だな」とは思う事はあっても、思い悩む事は無いんです。
なぜなら、今のメンタルが強かろうが弱かろうが、やる対処は同じなんです。なので、どちらでも変わりません。

こだわりが無いわけでも、何も感じないように努めているわけでもないんです。
自分で言うのもなんですが、かなり長い期間、強い負の感情に悩まされ続けること無く、よく笑っています。
何も感じないように努めているのではなくて、
ただ、知っていっただけです。気にしない方法を身につけていっただけなんです。

何も知らなかったがために、揺れ動き、苦しみ、悩んだんです。
気にしなくてもいい方法を知っていくことが、結果的に気にしないを作り上げました。

あくまで私の場合は、
この身に起きたことを全て世の中のせいにし、なにが本当か判断できるだけの事実を知らないために、他人の言動や動向を気にして、その都度手のひらを返すように生きそんな自分が苦しみの種になり、自分には何も無い、何も出来ないと思い込んでいたから、本当に何も出来なかったんです。

少しずつ知っていった結果、「あれ?これってこうすれば悩まなくてもいいな。」が増えて行き、その考えはどんどん加速していきました。

全てとは思いませんが、私を苦しめていたのは
「それを苦しいと受取る、私自身」でした。

その嫌だと思う経験を、負の感情になる前に対処する。あるいは負の感情になってもすぐさま「復帰」出来る様な考え方を見につけました。

そして、今まで知ってきた事の中で自分の支えになっているものについては、いくつか共通点がありました。
それが、
「気にしなくなる方法」と「復帰できる方法」です。

気にしていた事を「気にしなくなる方法」と、嫌だなと思ってもすぐさま戻ってこれる「復帰できる方法」。
世の中には沢山の考え方があって、どれが自分に合うかは人それぞれ違うのかもしれません。ですがこの2点に関してはどの考え方にも共通するものだと思っています。

悩む時間を減らしていく道のりは、順風満帆だったとはとても言えないものでした。ですが、私は傷つきながらも歩みを止めませんでした。徐々に鮮明に感じることが出来ているものを実感していたからです。心の支えになりうるものが見え始めてきたからです。

脳の神経回路の仕組み上、私達の思考は、
負の感情を紐解いてあげなければ、大きくなる事はあっても小さくなってくれないんです。

思考に関しては、「毒を持って毒を制する」のようなことわざのようにはいかないように出来ています。
悪口や自分を責める行為をする程に、その神経回路は増強され、思考しやすい神経回路が作られてしまう可能性があります。
しかし、先程も言ったように、その神経回路の増強は永遠では無いんです。

その感情が湧いてしまう問題や経験の紐解き方をひとつずつ、丁寧に、そして何度も何度も繰り返す事によって、私達の中で起きている「負の増強」は次第にその影を薄くしていきます。
その対処方法をひとつひとつ知ってしまうことが私達の「良薬」になり得ます。
また、知り得たものに関していえば、その効果は「良薬」と呼ぶには似つかわしくない程、ずっと続いてくれるものです。

問題は予期しないところからやってきます。しかし今は、その問題を解決する術があるので、むしろ良い感情を「増強」するひとつの手助けにさえなっていると感じています。

そして、毎日を楽しんでもいるので「楽しい気持ちの増強」も起きているかもしれません。

ポジティブ心理学で
今日起きた良いことを3つ挙げる。
という取り組みがありますが、これは脳の仕組みから見ても効果があるものと考えています。
良い事はなんだったろうと考えれば、その回路は使われます。そして日頃からいいと思うことを探す手助けにもなってくれると思います。

自分にとっての「良薬」を探し、歩み続ければきっと、その先がとても広くて暖かい事に気付きます。

私のブログが「良薬」かどうかは人それぞれ違うと思いますが、お口に合えば幸いです。

今日のあなたの一日が「神経回路と思考」を知る一日である事を願って。
読んでいただきありがとうございます!!

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