相手に話を柔らかく伝える「3つの大前提」を持つ

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人間関係

今回は、相手に話を柔らかく伝える方法をご紹介します。お互いの意見を尊重し、その話し合いをスムーズにするために、自分にも相手にもメリットのある話し方を取り上げます。話し合いがヒートアップする理由である【怒り】から見て、それを踏まえてじゃあどうしたらいいのか?について掘り下げていきます。

では、早速いきましょう!

話し合いがヒートアップする理由


打ち合わせや、家族間などで誰もが経験するであろう「ケンカのような話し合い」想像しただけでも、ゾワッとしますね。

今回はそんな「ケンカ」がどうして起きてしまうのか?について見ていこうと思います。

さて、早速なんですが、私達の話し合いがヒートアップして「ケンカ」する時って、どんな時でしょう?
これについては、「話し合いの中で少しずつ不満が溜まっていって、どちらかが怒りを露わにした時」ですよね。

不満が溜まって「怒り」となった時、それに引っ張られるようにもう一方も「あんただって!」という気持ちをぶつけ合う結果が「ケンカ」になります。
つまりは不満が溜まって、「怒り」が生まれるんです。

だとすると、裏を返せば
「自分も他人も不満を少なく、あるいは不満を抱かないようにしてあげれば、怒りはやってこない」とも言えます。

言い換えれば、
「自分が不満を抱かない方法があれば、相手に極力不満を抱かせない方法があれば、ケンカは起きる可能性がグッと少なくなる」んです。

そしてもし、相手が怒ってしまっても私達が「怒り」を抱えなければ、それだけでも随分楽になります。

ですので、まずは「怒り」について、もう少しだけ掘り下げていきます。

会話で感じる怒りとは?


会話において「怒り」というものが生まれる大きな原因はひとえに
「その発言内容が不満」だからです。
別の言い方をすれば
「その会話の内容が意に反している」からです。

それに何も会話だけじゃなくても、「自分の意に反したこと」に対しては、怒りを覚えやすいんです。

私達は、相手が意に反したことを言うたびに少なからず「感情」が反応します。
それが不安である場合もあるし、そこから発展して怒りや悲しみになる場合もあります。
そういったことに「感情」が反応するのは、それによって何らかの異常事態に敏感に反応するためなんです。

いずれにせよ、「意に反する度合い」が大きいほどに私達はドキドキしたり、汗をかいたり、呼吸が早くなったりします。

そして、話し合いの結果ひとたび怒りを感じてしまうと、落ち着くまではその話し合いはほとんど進まなくなることが多いですよね。

この時の話し合いの目的はすり替わってしまっています。
どういうことかというと、その話し合いは「意見交換のため」ではなく「相手を言い負かすため」の話し合いになっていますよね。

また、打ち合わせなどでは最初から「相手を言い負かすため」の話し合いの場合などもあったりもします。
これでは本来折り合いがつくはずだった話も、こじれる可能性は高いんです。

相手の意見を認めないことでその溝はどんどんと大きくなっていっているのにも関わらず、感情が先立ってしまって、それを加速させてしまいます。

つまりは「意に反すること」だと思うことが多ければ多いほどに、私達は【怒り】を感じ、その話し合いはまとまらない方向に舵を切ることになります。

こうなってしまうともう湧き上がる感情は抑えることがままならないので、建設的な話し合いは難しくなってしまいます。

話し合いの本来の目的は「言い負かすこと」ではなく「意見交換」だったはずです。
だとすれば
「意に反すること」を自他ともに少なくしていくことが大切なんです。
「意に反すること」を自分の中で、誰かの中で少なくすれば少なくするほどに、【怒り】に発展させないことができるんです。

ここで多くの人が
「理屈はわかった。でも、そんな方法があるの?」
と、こう思うと思います。

結論から言えば、可能性が高くなるものは、あります。
ですので、ここからまずは会話の中で「自分の意に反すること」を減らす方法をご紹介します。

自分の意に反することを減らす


たまに私も打ち合わせの中で
「相手を怒らせることで、私の頭の回転をハチャメチャになるように仕向け、自説を押し通そうとする人」に出会ったりします。

こんな人への最も効果的な対策は
「怒ってあげないこと」ですよね。

経験上そういった方は、「そんなこともわからないのか!」「あなたは〇〇ですね。」などの自分の価値観を押し付けてこようとします。

こんな相手であっても、今からご紹介する「3つの大前提」を持つことで
「ほほう、そう来たか」と冷静になれるよう可能性をかなり引き上げてくれます。ちなみに「3つの大前提」は、私が勝手にそう呼んでいるだけです。対人関係の心理や哲学の良いとこ取りしたものです。これによって私自身は、イライラしてどうしようもないという事態は起きていません。

1つ目は、
「言い分と感情を分けて、その言い分だけ聞く」ことを徹底してみるといいと思います。
言い換えれば「その言っていることだけを抽出する」感じです。

かつての私もそうだったように、多くの人は
「相手が怒るということは、自分が悪いのかもしれない」と思ってしまっています。ですが、冷静になってみると必ずしもそうではないことも多いんです。

相手が怒る(ふりかもしれない)、その理由を聞いてから、いい悪いの判断をした方が上手くいくことが多いんです。

それに加えて、話し合いをする目的は、意見の違いを埋めるため、そしておんなじ方向を向くためです。
ですので、大前提2つ目として
「意見の違いはあって然るべき」とも考えています。

私達はその違いを埋めるべく、話し合いをしているんです。もうすでに同じ方向を向いているのなら、話し合いなんてほとんど必要ないんじゃないかなって思います。

更にもう一つの大前提に持っておくと便利な考え方は
「自分の意見は1つの案に過ぎない」というものです。
かつての私は、打ち合わせに臨む前から自分の意見に固執しがちだったんですが、大抵は誰の意見もいいところも悪いところもあるものです。

何度も言って申し訳ないですが、私達はその違いを埋めるべく、話し合いをしているんです。間違っていたら素直に「確かにそっちの方がよさそうだ」でいいんです。

この
「言い分だけを抽出する」
「意見の違いはあって然るべき」
「自分の意見は1つの案」

という3つの大前提をもって、話し合いをし始めてからは、私は随分と楽をしています。

先ほどの例で挙げた「相手をわざと怒らせるタイプ」の人は、かなり頭のいい人が多いと感じています。
ですので、この3つの大前提をもって冷静に対応すると、本当は怒っていないので、その後は普通に話し合いができてしまうことがとても多いです。

さて、ここまでは「自分の意に反すること」への対策でしたが、これだけだとまだ相手を怒らせてしまう可能性が残ってしまいます。
ですので、ここから「相手の意に反することを減らす」方法についてご紹介します。

相手の意に反することを減らす


相手の意に反することを減らすことも、とっても重要なことだと思っていますので、こちらもご紹介していきます。

先ほど、自分の意に反することを減らす、「3つの大前提」を見てもらいましたが、これは相手にとっても、その意に反することを減らすために、十分な力を持っていると思います。

自分が冷静になれるものは、相手もまた人である以上は、これまた冷静になれるんです。

とはいえ、
「私が怒っても、その言い分だけを聞いてほしいんです。意見の違いはあって然るべきで、あなたの意見は1つの案にすぎません。」なんて言ったら、どう考えても相手はいい気持ちにはならないと思います。

ですので、ここでは「Iメッセージ」という話し方をご紹介していきます。
「Iメッセージ」とは
「【私は】こう思うのですが、〇〇さんはどう思いますか?」
「それをやってくれると、【私は】嬉しいです。」という話し方
です。

この話し方のいいところは、あくまで「私が」そう思っている、ということを相手にわかってもらえる可能性が高まる点です。そしてその意図が伝わるほどに、円滑になっていきます。騙すための話し方ではなく、理解し合うための話し方なので、むしろ「伝わった方がいい」という点が、Iメッセージの特にいいところだと思っています。

「確かに考えた末の意見は違うんだけど、これは私の意見であって、1つの案なんです。だからあなたの意見も聞きたいんです。」ということが相手に伝えやすくなります。

また、これの全く正反対にある話し方が、「YOUメッセージ」です。
「YOUメッセージ」とは、
「【あなたは】こう思っているんですね。」
「【あなたに】それをやって欲しいです。」
という話し方です。

この話し方だと、私の思っていることを相手に押し付けている感じがどうしても強くなります。
人は本質的には自分で決めたいんです。誰かに決めて欲しい人も「誰かに決めて欲しいと自分で決めた」からそう思います。
そう考えると、いずれにせよ「YOUメッセージ」は少しとげとげしすぎるのかもしれません。

私達は意見の違いを埋めるべく、話し合いをしなければならない時があります。
お互いにその意見に至った、理由や事情があるんです。

それをないがしろにするがために、話し合いではなく「ケンカ」になってしまいます。

自分には「3つの大前提」を、相手には「Iメッセージ」で、どちらも気分よく結論が出ることを願っています。

明治時代。福沢諭吉は、西洋文化と日本文化の融合によって、「いいとこ取り」の文明化を目指しました。福沢はただやみくもに「西洋の意見を取り入れる」ことには批判的でした。「西洋があのやり方で非常に発展したんだから、日本もそうした方が良い!」という当時の気風に対して、福沢は「中身が伴わない外側の真似事で上手くいくはずがない。大切なのは内なるものだ。」と考えます。この考えは、現代でも、いやむしろどの時代でも通用するもっともな考え方の一つだと思います。福沢は西洋文化のことを、むしろ肯定的でありつつも、それが自国でより有効に機能させるために「外見より中身だ」と言った人です。

また、福沢は「多事争論(たじそうろん)」も重要だと、「多事争論の出来る多様性」が重要だと言っています。多事争論とは、読んで字のごとく「多くのことを激しく論じあうこと」ですが、その前提にあるのは「批判的意見を許すからこそ、より良い意見が生まれる」ということです。互いに自説を押し通すのではなく、互いが自他の意見を吟味することから、お互いの意見が高まっていき、精神的な成熟すら期待できる。こんなことを言いました。こういった偉人の観点には、いつも驚かされます。

今日のあなたの一日が「言い分を抽出し、意見の違いを認め、自分の案が絶対正義でなくてもよくて、相手にはIメッセージで伝える」一日であることを願って。
読んでいただきありがとうございます!!

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